絶賛公開中の映画『アバウト・レイ16歳の決断』について、詩人・文月悠光さんにインタビュー!

エンタメレポート

『アバウト・レイ16歳の決断』(2月3日公開)の試写イベントへ駆けつけた文月悠光さんに単独インタビュー!文月さんが本作のために書き下ろした詩「わたしたちの愛し方」の背景や、映画の見所について直撃しました!

真尋 真尋 2018年2月9日

クリップ

映画『アバウト・レイ16歳の決断』2月3日より絶賛公開中!

皆さんは自分に正直に生きていますか??

『アバウト・レイ16歳の決断』という映画は、「自分に正直に生きる」ために葛藤する主人公とその家族を描いた物語!

私・真尋は今回、その映画について詩を書き下ろされた詩人・文月悠光さんにインタビューしてきました!

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〜文月悠光(ふづき・ゆみ) プロフィール〜

詩人。1991年北海道生まれ。中学時代から雑誌に詩を投稿し始め、16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に出した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少18歳で受賞。2016年に初のエッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、第3詩集『わたしたちの猫』(ナナロク社)を刊行。2018年2月、エッセイ集『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)を刊行予定。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩の朗読、書評の執筆、詩作の講座を開くなど広く活動中。

 

映画の感想はもちろん、女子中高生がこの映画を観た時に感じて欲しいことや、感情移入したシーンについて。

さらには、文月さんが『アバウト・レイ16歳の決断』のために書き下ろされた詩「わたしたちの愛し方」も紹介!

映画を観た人はこのシーンのことかな…と余韻に浸ったり、まだ映画を観てない人は自分の家族について考えたり…

色々考えさせられる詩になっています😌

『アバウト・レイ16歳の決断』

2018年2月3日新宿ピカデリー他にて、全国ロードショー

🌷 あらすじ🌷

「誕生日の願い事は毎年同じだ。“男になれますように”」

16歳になり、身も心も男の子として生きたいと決断した主人公・レイ(エル・ファニング)。医者から受け取ったホルモン治療についての見慣れない資料に呆然とするシングルマザーのマギー(ナオミ・ワッツ)は、「突然、息子を育てることになるなんて・・」と、動揺を隠せない。共に暮らすレズビアンのおばあちゃんのドリー(スーザン・サランドン)もレイのカミングアウトをイマイチ理解ができないでいる。一方、髪を短く切り、身体を鍛え、少しずつ“本当の自分”に近づいていくことで生き生きしてくるレイ。そんな姿を見てマギーは意を決して、治療の同意書のサインをもらうために、何年も会っていない別れた夫に会いに行くのだが、そこでまさかの“家族の秘密”が明らかになる―!

<自分自身に正直に生きる>ためのレイの決断とはー?

 新たな人生を歩き出す人へ贈る、希望の物語。

 

👕作品情報👕

■原題:3 Generations

■監督:ゲイビー・デラル

■出演:ナオミ・ワッツ、エル・ファニング、スーザン・サランドン、リンダ・エモンド、テイト・ドノヴァン、サム・トラメル

©2015 BigBeach, LLC. All Rights Reserved.

■配給:ファントム・フィルム

詩人・文月悠光さん独占インタビュー【作品について】

―この映画を観た、率直なご感想はいかがですか?

文月悠光主人公のレイは、16歳で体は女性、心は男性。映画を観る前はその設定がやや深刻に感じられました。

でも、いざ観てみるとレイの存在を深刻に描こうとしないで、家族の一構成員として描こうとしている部分にとても好感が持てました

レイという特殊な人物が周りの人を振り回す、という描き方もあったと思うのですが、そうではなく、彼は彼の中の正しさとか、「正直に生きたい」と自分の中にある違和感と戦っている。レイの母親もその戦いに寄り添っていました。観ていると、家族や、共同体、一緒にいる人たちのことを考える時間が長かったです。

©2015 BigBeach, LLC. All Rights Reserved.

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―ご自身と重ねたシーンはありましたか?

文月悠光全体的にレイの母親の視点で観ていました。

劇中で「私は一人の娘を失った。これからは一人で息子を育てていく。」と言っているシーンがあり、母親として、父親なしで育ててきたというプライドや葛藤、彼女が一人の娘としても殻を破ったことが、このセリフに現れているなと感じました。

私が将来母親になり、自分の子供がレイのような状況になった時にどう受け止めたらいいのか、どう支えてあげたらいいのかを考えさせられました。

 

―ちなみに、登場人物の中で一番共感した人物をあげるとしたら誰ですか?

文月悠光やはり、母親に対して、一番感情移入が出来ました。

でも(母親に限らず)どの人物にも「自分の過去にもこんなことあったな」と思う部分がありましたね。レイの振り切った感情の出し方や目の鋭さ。彼のあまりに真っ直ぐな考え方に対して、戸惑い、答えを焦りたくない母親の気持ち。そして、自分たちの世代の考え方に縛られてしまっている祖母の気持ちも想像しました。

一人の登場人物に共感、というより人物間の関係性の中に、過去の自分を重ねながら観ていました。

©2015 BigBeach, LLC. All Rights Reserved.

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―この人、というよりは映画全体で共感できる部分があった、という感じでしょうか?

文月悠光そうですね。

映画のプロローグでレイが、「人が思う僕という人間は、僕が産まれた時に人が思った僕だ」と独白する場面があります。彼にとっては産まれた時にあてがわれている性別も、あくまでも「人が思った僕」でしかなくて、「僕」自身とは違う。

「人が思う僕」と「僕が思う僕」が違うことから出発していて、それが彼にとってのアイデンティティなんだろうな、と感じました。

人が思っている自分と、自分が思う自己像の間にあるギャップレイに限らず誰しも感じたことがあるのではないでしょうか。

チグハグでも家族で、食卓を囲んでご飯を食べる

―本作は「家族愛」が大きなテーマで、実際に文月さんも詩にされていましたが、特にインスピレーションを受けたシーンはありますか?

文月悠光家族での食事のシーンが何度かあり、印象に残っていたので、詩の一連目にその場面のことを書いています。

特に冒頭でレイと母親、祖母と、祖母の同性のパートナーというチグハグな4人で食卓を囲むシーン

祖母の考え方や口の出し方に、苛立っている様子の母親が印象的でした。

でもレイはレイらしく突き抜けているというか超然として構えている。そんなチグハグな4人なのに同じテーブルを囲んでご飯を食べていて、ある種、”家族の矛盾“のようなものを感じました。

 

他人だったら合わない人とは顔合わせなくて済むけれど、家族っていうだけで顔を合わせなきゃいけない、話さなきゃいけない、というところに難しさがあるなと思いました。

でもその難しさは観ている側は面白いし、腹違いの兄弟達とレイがご飯を食べているシーンも私はとても好きです。

一緒に暮らしてきた家族には「男になるのではなく、レズビアンになるのではだめなの?」と言われてしまった一方で、腹違いの兄弟たちには「お兄ちゃん」とすんなり受けれてもらえるシーンが印象的でした。

わたしたちの愛し方 文月悠光

食卓に八つの手を集わせる。
不器用な左手や、年季の入ったしわくちゃの手が
器のあいだをぎこちなく行き来する。
せわしなく、愛する。
わたしたちの見えない物語は、テーブルの上
いびつに重なり合って、傾いている。
どうか、しかるべき位置へ
振り分けてくれぬものだろうか。
欠けているはずのものを告げて
ぴったりと手を包んでいてはくれないか。
 
完璧な地図など、この世には存在しない。
いともたやすく変わり続ける
わたしたちは不完全な生きものです。
もう待てない、と声を限りに叫んで
何度「今」に蓋をしたことだろう。
鏡の中に瞳を揺らして、
ひとり未来を思い描いた夜は?
まっすぐに傷つくことの痛みは――
果たして誰が覚えていてくれるだろう。
 
わたしたちはあまりに小さくて
キッチンで口ずさむ鼻歌のように未完成だ。
まだどこにもない「本物」を求めて
とびはねる心のまま、次の街へ。
そう、わたしたちは屋根を渡り歩く通り雨。
あなたへ降りそそぐために出向くのだ。
わたしの呼び名や、姿かたちが変わっても
あなたは変わらず、わたしを見ていて。
さびしく、いびつで甘苦しい
わたしたちの名前は、家族です。

©2015 BigBeach, LLC. All Rights Reserved.

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家族や学生としての「正しい形」を目指さなくてもいいと思う

―この映画を通して、今の女子中高生たちにどんなことを感じてほしいですか?
文月悠光この映画は、レイが母親も自分と同じように不完全な存在であることを知り、互いの不完全さを認めていく成長の物語でもあります。

中高生って周りの大人たちも実は完璧じゃないんだと、少しずつ知っていく時期だと思います。

でもそこで失望するのではなくて、私はこの人とは違う道を歩もう、ここだけは真似していこう、とか自分の道を見定めるヒントにしていくと視野が広がりますよね。

今「ある正しさを押し付けられて苦しい、違和感がある」というのをどう解消したらいいかと悩む方も、この映画でレイの挑戦や、決意に学ぶことがあるでしょう。

人が思う自分と、自分自身との違いに気付いた時って苦しいけれど、自分を変えていくチャンスだと思います。

 

―中高生が将来や人生について考える上で、「こういうことを大切にしてほしい!」ということは何ですか?

文月悠光自分を大事にして生きていって欲しいと思います。

SNSでは綺麗な日常や完璧な人ばかりが、目に飛び込んできますよね。だから自分に否定的になったり、綺麗な画面の世界だけに浸ってしまいやすい。

それで、自分自身と向き合わずに逃げてしまう人も多いと思います。

10代の時期って自分の欠点がどうしても許し難いものに感じて、辛いときがあります。もちろん欠点と戦って克服していくのも大事なのですが、年齢を重ねていくと欠点を活かして仕事に繋げていこうとか、周りの人に欠点を愛してもらおう、とか欠点そのものが心強い武器になっていくんですよ。

―ありがとうございました!

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映画『アバウト・レイ16歳の決断』を是非、劇場で!

映画『アバウト・レイ16歳の決断』、そして文月さんのインタビューを通して、考えを改める部分や、学ぶことが本当に多かったです!

レイと同年代の私たちにはすごく刺さる今作。

文月さんも仰るようにLGBTを押し付けるような表現が無く、家族、そして自分自身の生き方を考えさせられる内容です。

「本当の自分」ってなんだろうと悩んでいる人「自分に正直に生きたい」と思っている人は是非、主人公のレイから何か大切なものを受け取って欲しいです…!

映画『アバウト・レイ16歳の決断』2月3日に公開されました!是非、劇場まで!

 

インタビュー後編は文月さん自身について、詩についてをお届けします!

詩を書くのが好きな子、詩人に憧れている子、文月さんからのメッセージもあるからぜひ見てね!👌

⇒【インタビュー】詩人・「文月悠光」さん!自分の”長所”を伸ばし世界を広げる生き方を語る!

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真尋

真尋

18歳

ださいたま

▼【とことん自分レポーター】▲ ▽カービィ・不思議カワイイモノ・猫・ピンクと紫が好き△ ▼作詞作曲演奏でライブ、路上ライブしてた音楽好きでもある▲ Twitter▷@Nekota_mf

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